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『スマート工場アカデミー<27時限目>』(2025.08.01)

  • m-koshio
  • 6 日前
  • 読了時間: 5分
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8月は夏の盛り。照りつける太陽に体力を奪われつつも、どこか解放的な気分にさせてくれる季節です。花火や夏祭り、帰省など心を動かす出来事が多いこの時期は、普段気づかない大切なものにふと目を向けるきっかけにもなります。


技術屋集団コスモマンの一人「たかし」です。

日頃から何事に対しても感謝の気持ちで向き合っています。今回は8ヶ月ぶりにロボット教室をお届けしたいと思います。情報量多めなので、複数回に渡ってお伝えします。


<RE:ロボット教室 第14軸 ~ロボットシステム導入のポイント①~>

<1>ロボットシステムの目指すところ

◆国内製造業の未来に向けた変化とチャンス

日本の製造業は、今まさに大きな変革期を迎えています。とりわけ人材に関する領域では、多くの課題とともに、新たな可能性が広がっています。

 ・次世代人材へのシフトとスキル継承の機会

 ・人材投資の価値向上

 ・多様な働き方への対応で魅力ある職場へ

こうした動きは、従来のQCD(品質・コスト・納期)重視に加えて、人材と環境に優しい経営の実現を目指すチャンスでもあります。


◆求められる生産性の向上

日本の1人あたりGDPは長年伸び悩んでおり、所得水準も大きくは改善していません。経済の停滞感を打破するためにも、製造業にはさらなる生産性の向上と付加価値創出が期待されています。最新技術の導入や人材育成、業務の見直しを通じて、企業の競争力と日本全体の経済活力の向上につなげることが重要です。


◆ロボットシステムでさらなる競争力を!

多様化するモノづくりの現場において、ロボットシステムの活用は企業の成長を支える重要なカギとなっています。その導入により、次のようなメリットが期待されています。

 ・効率的な働き方を支えるオートメーションの推進

 ・安定した生産体制による品質・生産計画の最適化

 ・多品種・小ロット生産に対応できる柔軟な体制づくり

「人にしかできない創造的な仕事に集中し、繰り返し業務はロボットに任せる」

 ・・・この考え方が、働きやすく持続可能な製造現場の実現につながります。


今後の日本の製造業にとって、柔軟性と信頼性を兼ね備えたロボットシステムは、

次代に向けた競争力強化の重要なパートナーです。


<2>ロボットを導入するか否かの判断

◆ロボット導入のメリット

 ロボットを導入することのメリットとして、次の点が挙げられます。

 ・省人化によるコストダウンが可能になる

 ・人間の作業と比較して再現性が高い

 ・人間では不可能な力を発揮でき、劣悪な環境下でも作業が可能

 ・労務問題から解放され、故障がない限り計画通りの生産が可能

 ・工場の見栄えが良くなり、ショールーム化の促進につながる


◆ロボット導入のリスク

 ・ロボットの導入に成功すれば、上記のようなメリットが期待できますが、

  失敗した場合には以下のようなリスクが発生します。

 ・多品種少量生産に対応できず、最終的に使用されない

 ・チョコ停やトラブルが頻発し、無人化が実現できない

 ・費用対効果が得られず、コスト削減は実現しない

 ・他工程とタクトが合わず、仕掛りが多数発生する

 ・安全対策が不十分なことにより、事故が発生する


◆ロボット導入の可否判断

ロボット導入のための検討項目として、

①ワーク品種②ロット③ワーク認識の可否④必要精度⑤必要可搬重量・トルク⑥作業環境⑦周辺設備とのマッチング⑧他工程とのマッチング⑨安全性の確保⑩費用対効果

といったことが挙げられます。

特に費用対効果の観点では、単純な初期投資額ではなく、長期的な付加価値の創出や柔軟な運用への対応力も含めて評価することが求められます。

ロボットを導入すべきかどうかは、「設備」か「人」かという二択ではなく、企業の戦略や製造スタイルに最適な方法を選ぶ柔軟な思考がカギになります。


<3>ロボットレイアウトのポイント

◆失敗しないためのレイアウトのポイント

 ロボット導入の可否を判断するにあたっては、まずロボットシステムのレイアウトを検討することが重要です。

 レイアウトを計画するうえでの主な検討ポイントは、以下の通りです。


 ・ロボットを何台使用するのか

 ・ロボット・安全柵・その他周辺装置のスペースが確保できるか

 ・既存設備への導入の場合、インターロックなどのマッチングが可能か

 ・十分な安全対策が講じられるか

 ・設置後のメンテナンスまで考慮されたレイアウトとなっているか

 ・コストを踏まえた、シンプルなレイアウトになっているか

 ・万が一の故障時にも生産維持が可能な設計となっているか

 ・工場見学なども意識した、見栄えのよいシステムとなっているか

 ・将来のレイアウト変更や新規品種への対応が可能か


◆求められるトータルバランス

上記の内容を踏まえたうえで、前後工程との整合性を考慮したレイアウトであることが重要です。多くの場合、ロボットシステムは工場全体の中の一工程に過ぎません。

つまり、ロボットシステム単体ではなく、工場全体を見据えた視点でのレイアウト設計が求められるのです。

そのため、ロボットシステムを構築する際に活用するSIer(システムインテグレータ)は、ロボット技術のみならず、搬送設備、各種専用機、自動機といった技術にも対応できるパートナーを選定することが、プロジェクト成功の鍵となります。


先ずはロボットシステム導入の検討段階におけるポイントをお伝えしました。

次回は導入が決定し、次の段階で必要な検討を掘り下げて行こうと思います。


暑さの中にも夏の思い出を胸に、少しずつ秋への準備も初めて行きたいと思います。

忙しさに追われる日々の中でも、自分自身をいたわる時間を大切に。心と体を整えながら、次の季節も前向きに迎えましょう。


今月も読んでくださった皆様に心から感謝します!

それでは今月も「ご安全に!」

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